庭しごと

庭の工作物

ブランコ

動機と課題

さて。突然ですが、ブランコを作りました。このように単なる板ではなく、ベンチが吊ってあるタイプのものをブランコベンチと言うとか、言わないとか...。ともかく、1歳と2歳になる子供がいるので、彼(女)らの遊び場の一つになれば、と、考えたのが一つ、それから、しばらく遠ざかっていた木工に関する感覚を取り戻すためのリハビリのテーマとしてと考えたのが一つ。いずれにしても、「ちょっとブランコでも作ってみるか」といった軽いノリで作りました。(もちろん、自分が座ってくつろいだっていいですしね。)

木工といえば、以前ウッドデッキを作ったことがありましたが、それとブランコじゃだいぶ勝手が違います。例えば、ウチのウッドデッキは真四角なので、ほとんどが垂直の角度を成す材の組み合わせだったのに対して、ブランコでは座面と背もたれ、ブランコを支える架台に鋭角や鈍角が登場しますので、そのための加工が必要になってきます。

さらには、ウッドデッキが「家」に準ずる構造物だったのに対して、ブランコはどちらかというと「家具」に属するモノなので、それなりの加工が必要だったこと。その小ささ故の困難さもありました。

木材の準備と塗装

いつものことながら、設計図など一切無しに作り始めます。

といっても、塗装の段階。ここで必要なのは必要な材木の数量なのですが、やはりここは目分量で...。とりあえず全て6feet(約1800mm)の材で、2×4を11本、2×6を1本、1×4を5本用意しました。

塗装には、ウッドデッキなどはチーク色のオイルステインを使ってますが、今回はクリア(透明)色の水性ステインにしました。なんとなく、生木風味の家具っていいような気がしたのと、クリアだと後から色を変えるのが容易という、ま、どうでもいい理由ですね。まず、買ってきた木材に全体に1回塗りした後、この塗料の缶は丸ノコ作業の傍らにずっと置いておき、新たな切り口が出現するたびに塗っていきました。組み上げる前の木材は、すべて一通りの塗装が終わってることにしてあります。

ベンチの製作と方針

さて、一番最初に悩んだのはベンチの形と木材の使い方でした。

座面の幅を900mmと決めたのは、木材に無駄が出ないようにということでこれは基本かと思うのですが、奥行きをどうするかは、木材を並べて眺めてみたり、家のソファやイスに腰掛けながら大人でも座ってくつろげる大きさについて、検討を重ねました。その結果「最低400mmの奥行きは欲しい」ということに落ち着いたのですが、「450mmは大きすぎる」とも思いました。

一方、軽量化の観点から座面には1×4(およそ19mm×89mmの小口)を使おうと思っていたのですが、これを使うとなると、板を横置きするなら、4本で356mmなんだから、板の間に1センチ強の隙間をあけなければならない(あるいは、半端な幅の木材を足す)ことになり、あまりうまくありません。

じゃあ、板を縦置きするといいかというと、確かに、大きさ(奥行き)の問題についてはクリアできます。でも、別の問題が浮上してきます。つまり、小口が座面の正面に出てくると、座り心地に影響するのではないか?ということです。

そこで、考えたのが座面の一番前だけ木材を横置きし、それより奥は縦置きするという方法です。

写真では、板の間に隙間が1センチくらいあるように置いてますが、実際にはほとんど隙間無しに作りました。

切り欠き細工

前項のような木材の使い方をするベンチを作るためには避けて通れないのが、切り欠き細工です。ウッドデッキのときにはほとんど使ったことのないテクニックで、今回、切り欠きをするということで、早速ノミを買ってきました。

ここではノミは使ってませんが、丸ノコの切断の深さを調節して、2×4材に写真のような切り欠きを作りました。この切り欠いた部分に座面のメインになる1×4を乗せるということで、先ほど決めたベンチの座面を作ったわけです。

金具

今回、切り欠きと共に新たに導入したのが「金具」です。どうしても必要というわけではなかったのですが、金具の使い方や取り付け方をマスターする意味で、ちょっとした練習がてらというわけで使いました。

写真のように、ロープやワイヤを通すための穴とねじ穴がついたものと、そのねじ穴(M6)に合う50mmの長さのボルト、そして、ワッシャーを使ってロープを使ってベンチを支える部分を作っています。

M6のボルトを通すための下穴は、6mmの穴を開けるためのドリルの刃をインパクトドライバのビットの代わりに取り付けて使いました。簡単に穴が開くのでちょっとびっくり。こりゃ楽だわ。

ちなみに、金具の周りの白い液体は、今回使ったクリア色の塗料が乾く前の色。要はフローリングのワックスのようなものですね。(風味は)

ベンチの構造をさらに考える

前項までで、初日の作業が終わったのですが、夜の時間を利用して、ネットで調査(今頃か!?)してみました。ベンチの構造はどうすりゃいいのか?とりあえず、わかったこと。

  • 市販品の主流はロープなどはほとんど使わず、木材や金属パイプでベンチを吊っている。
  • ロープや鎖を使う場合は左右それぞれ2本ずつ、座面の一番前と背もたれで支えることが多い。(前後の座面の高さで吊ると、おそらくベンチがひっくり返る危険性が出てくる)
  • 座面の板の使い方はほとんどの場合横置きで縦置きは珍しい。
  • 座面の板を支える根太(?)に穴や金具を取り付けてロープや鎖で吊るタイプがほとんど。
  • 座面と背もたれの角度はおそらく(見たところ)100度〜105度。

そこで、自分のブランコはどうするか、改めて考えました。

  • 当初の予定通り、ロープは4本使う。
  • 左右それぞれ、「背もたれを支える2×4」と「座面の下の一番前にそれ専用に取り付ける2×4」に金具を付けてロープで吊るす。
  • 座面は2×4で「日」の字を形作り、その上に1×4を並べる。
  • 座面を支えるための骨組みに治具を取り付け、座面から200mm上に肘置きを付ける。
  • 肘置きの奥は背もたれを取り付ける2×4と100度(直角+10度)の角度で接続させる。

文字で書いてもよくわからないかもしれませんが、実際に、自分でも設計図を書いていないので、頭にあったのはこの程度。後はいつもどおり現物合わせでなんとかしてます。

架台

これ以降、途中の写真がなく、いきなり完成していますが、子供の昼寝や遊ぶ時間の間を縫っての作業なので、とても忙しく、写真も撮る暇がなかったんですよ。すいません。(写真はこのページ一番上のものの再掲)

ベンチを支える架台は写真にわずかにしか写ってませんが、三角形(というより、アルファベットの“A”)を二つ作ってその間に物干し竿よろしく2×6の6feetを置いています。

アルファベットの“A”は、ほぼ2×4を買ってきたときの長さのままで、角度はおよそ30度。垂直からのずれはそれぞれおよそ15度ずつにしてます。小口を15度に傾けて置きやすくしてます。正確な角度は2sin-1(1/4)です…そんなことどうでもいいので、“A”の足の間隔が900mmになるようにしてだいたい30度にしました。

2×6を支える構造はこれもまた写真には微妙に写ってますが、“A”の上の方にさらに横棒を一本、いや、裏側にも同じように一本なので合計2本の2×4、ここで、支えています。ここで、単にその治具にのっけるのではなく、買ってきたノミを使って2×6を切り欠いてます。そのおかげか、これで十分な強度が出たので、方丈などの補強材は使っていません。

完成と反省

ベンチをマニラロープ(いまどきボーイスカウトでも使わないだろうチクチクと痛いロープ)で吊り、水平や前後の傾きを調整して完成です。

見た目の完成度はいいように見えますが、いろいろ問題もありますので、暴露しておきます。

  • 背もたれを支える構造と、座面を支える構造は、肘置きを介してのみ繋がっているので、実は分解してしまうのではないかという恐怖があったりあします。(今のところ、大丈夫そうですが...)
  • 座面を1×4で作ったので、端のほうにコーススレッドを打ち込もうとしたところ、簡単に割れてしまいました。仕方が無いので久しぶりに釘を使ったのですが、きっちりととまってなくて座るたびにぎしぎし言います。これはまたそのうち補強を予定してますが、釘打ちもコーススレッドをインパクトドライバで打ち込むのも大音響を発生するので、手短に済ませたいですね。
  • 金具の強度を確かめたら、1本あたり60kgとちょっと少なめなので、金具を取り替えることを検討してます。
  • クリア色の塗装はSPFにはあまり映えないから、何か別の色を塗った方が良かった

…そんなところですね。完成までにかかった時間は8時間で休日2日分とちょっと。奥さんいわく「思ったより早くできてびっくり」「思ったよりダサくなくてびっくり」だそうです。2歳のムスメは最近ブランコのゆらゆらが怖くて、乗ってもすぐに降ります。1歳のムスコは喜んでますが、自分で乗り降りできません。う〜ん、喜んで乗ってくれるのはいつのことやら...。

あ、かかった経費は…計算しておきます。