庭しごと

ガーデニングのツボ

多年草・宿根草

多年草と宿根草はどう違う?

さて、いきなりここで薀蓄をたれはじめるわけですが、多年草と宿根草は何が違うのでしょうか?

自分の頭の中の整理では、多年草は宿根草を含めて同じ株から芽を出して花を咲かせる草のことで、宿根草は冬の間地上部が枯れて−でも根は生きてて−春にまたそこから芽を出すタイプの多年草だと思っています。つまり、宿根草は多年草の一種であって、違いがよくわからなかったら「多年草」という言葉だけ使いまわしていても間違いではないということですね。

多年草は初心者に優しいか?

自分のガーデニングの失敗の最初は「多年草は毎年苗を買わなくても放っておきゃ花が咲くから楽」と思っていたことでした。確かにこのこと自体が間違っているとは今でも思いません。しかし、「放って」ということが何を意味するのか、初心者と経験者の違いがここで出てきます。

初心者は概して「ガーデニング=花を多く長く咲かせる」と思い勝ちなところがあります。自分もそうでした。だとすると、特に花期の短い多年草は、花が咲いていない一年のほとんどの期間は庭の中の「花」ではなく、「もの」として存在することになります。要するに「育てよう」というモチベーションが低くなるんですね。その結果、株は乱れ、あまり綺麗に咲かなくなり、しまいには放置され忘れられる存在になってしまう可能性が大きいわけです。

例えば家を手に入れたなどの理由で、あまり知識なく、いきなりガーデニングを始めたのならやはり多年草ばかり揃えることは危険じゃないかと思います。

一年草・二年草

一年草と二年草はどう違う?

さて、さらにここで薀蓄をたれはじめるわけですが、一年草と二年草は何が違うのでしょうか?

一年草は簡単です。例えば春に芽を出して夏に花を咲かせ、秋から冬にかけて枯れてしまう草のことが一年草というわけです。それに比べると二年草は単純でなかったりします。というのも、二年草と分類されるための基準が二種類あって、一年草と分類されてしかるべき草も二年草と呼ばれることがあるからです。どういうことかというと、一年草が上記のように「年(冬)を越さない」のに対して、芽を出してから花をつけるまでに越冬して花をつけた後、夏までに枯れるものがあり、これも二年草と呼ぶことがあるらしいのです。最近はそういう草花も一年草と分類されることがほとんどだと思いますが。

厳密には二年草は、そのライフサイクルが1年以上2年未満のものをいうらしく、1年目は生育に費やし、2年目で花を咲かせるものという分類なんだそうです(最初の冬は越すけど、花をつけた後の二度目の冬は枯れてしまう)。どっちにしても、花が終わると枯れちゃうものが一年草か二年草というわけですね。面倒なので、そういう草花を一年草と呼んでおきましょう。

一年草は初心者に優しいか?

ホームセンターでよくある光景の一つに、ガーデニング初心者(含自分)が売られてる苗のタグをチェックしている姿というものがありますね。やはり一番気になるのは「花期」で、それから「一年草か多年草か?」そして「耐寒性」じゃないですか?違います?

それを見てるとおおよそ次のような傾向があるのがわかると思います。

  • 一年草…花期長め・花色派手・花がら摘み推奨・液肥をあげましょう
  • 多年草…花期短め・花色地味・耐寒性あったりなかったり

水遣り・花がら摘みと施肥さえ怠らなければ、初心者であってもこんもりと花を咲かせることができるのが一年草の魅力ですね。(いや、きっと怠るな...)

本当に一年草か?

さて、一年草と分類されてるものに「(日本では)一年草扱い」という妙な言い回しをされてるものがあります。これらは、(日本では)夏越し冬越しが難しいとの理由で、その生涯が一年ぽっきりになってしまう本来なら多年草と分類される草花のことですね。例えばペチュニアやパンジーなどのようにほとんんど間違いなく一年草と思われている(違う?)ものも本来は多年草なんですね。

ウチではスイートアリッサムが秋まで咲いてて、いや、年中咲いてて「あれ?」と思ったのがそのことに気づくきっかけでした。この花は高温多湿に弱く、日本の夏を越せないとされているのですが、なんでもかんでも乾燥気味に育てる(うそ、水遣りをサボるだけ)ウチではなんとか生きながらえたんですね。こういうのを怪我の功名と言ったりするんですか。

ペチュニアなんて割りと簡単に冬越せます。ウチでも越しましたから。それに今年は(冬越しするのを前提に)11月に入ってから苗買ってますし。(←強気)

毎年苗を買わなきゃいけないか?

がんばって夏越し冬越ししなきゃ、一年で枯れてしまう一年草ですが、もちろん繁殖の方法はあります。普通に花が咲いて花がらを摘み取らなければ種ができたりできなかったりします。できたらそれを蒔いてあげればいいんですから、毎年苗を買う必要はありません。

いやいや、種まきから育てるなんて...と尻込みしそうですが、ほっときゃ勝手に芽が出て来年また咲いてくれるという繁殖の仕方もあります。いわゆるこぼれ種というやつですが、どこから芽を出すのかわからないのが玉に傷ですね。ウチでは忘れな草など、こぼれ種が期待できそうな花は株を引っこ抜いた後、「ここから芽を出して欲しいなぁ」という場所に連れてってあげて、枯れてしばらくするまでそこに放置してたりします。こぼれ種が簡単な草花なんて、そりゃもう一年草というよりはひたすら宿根草に近い感じ。

花選び

多年草か否か?

というわけで、実際に花苗を選ぶときに「多年草かどうか?」はあまり意味がない気がします。ウチのような関東地方では、耐寒性がないから冬が越せない一年草扱いの草花もがんばればなんとかなります。がんばる気がなけりゃ一年草扱いにすればいいし、そこをがんばるのがガーデニングの喜びとばかりに力を入れるのもいいでしょう。耐寒温度が何度なのかというのはその時に重要な情報ですね。

ただし、夏越しが難しいものはやはり一年草になってしまうでしょうね。さすがにクーラーをつけるような気はないですから。

花期は長けりゃいいか?

そりゃ花期は長いに越したことないとは思いますが、花期が短いものはそれはそれで季節感があっていいものです。

でも、庭が狭いとかいう場合には花の咲いてないコンテナがずらっと並ぶ姿も寂しいものがあるでしょうから、何とも言えません。「花選び」ではなく「草選び」としてトータルで選べればいいなぁ、と思います。そう考えて最近は葉を味わうという目が肥えてきましたよ。うん。

で、結局この長〜いコラムでは何が言いたかったかというと、…う〜ん、最近なんだか多年草ばかり揃えてる自分に気づいたわけで、しかも、それが「お得」だからじゃなくて、地味で繊細な感じのする花が多年草だったというわけで、一方で表の花壇など目立つところはやっぱりビビッドな一年草が多かったりして、と、要はそのライフサイクルが問題なんじゃない選び方に気づいて、ま、それを書き留めたってことかな。長文失礼しました。