庭しごと

ウッドデッキ製作の舞台裏

材料の調達

はじめに

えっとー…このページでは、通りいっぺんの製作過程ではなく、「何を考えて作ったか」に焦点を置いて文章メインで紹介していこうと思ってます。いきなりこのページを見てしまった人にはまず、ウッドデッキ製作記を先にご覧いただいた方がいいかな、と。

自分の作ったウッドデッキの紹介がメインですが、これから作ろうという人にも素人の先輩としての視点ということで参考になるのではないでしょうか。

木材選びの基礎

さて、「ウッドデッキ」というからにはまず、木材選びからお話するのが筋かと思います。

ふきゅのウッドデッキは基本的にSPFときどき防腐剤注入材で作られてます。

ご存知の人にはすごく知られているとおり、SPFとは(スプルース[エゾマツ] ・ パイン[マツ] ・ ファー[モミ])の頭文字をとったもので、これらの樹木の総称です。樹木の生長が早いため安価なのですが、腐りやすいという欠点があります。一方、防腐剤注入材とは、加圧注入法というテクニックでもって圧力をかけて薬剤を木材に注入するもので、薬剤が表面だけでなく木材内部に 深く浸透するため長期的な防腐・防蟻効果が得られるというものです。もちろん、その分SPFよりお高くなっております。

ところで、世の中じゃウッドデッキの材料として「腐りにくく虫害に強い」とされるウエスタンレッドシダー(WRC)と呼ばれる北米原産ヒノキ科の針葉樹が使われることが多いのですが、ふきゅの価格調査では、SPFの1に対してWRCは5と、かなりのコスト差があります。

トコトン安さを求めるなら全部SPFで作るのが一番ですが、ある程度の耐久性も期待したいとなると、ちょっと考えなくてはなりません。全部WRCで作るとそれなりの耐久性が期待できますが、そこそこの広さのものを、となると、そこそこのコストをかけなければなりません。ふきゅの試算だと、全部SPFで4坪の手すり付きウッドデッキが7〜8万円だとして、同じ大きさのものを防腐剤注入材あるいはWRCで作ると20万を超えることは確実かと思います。

一般人(主にホームセンターから資材を調達するであろう人;独自の流通経路で特殊な資材を調達することができない人)にとっては、まず、ここから考えるべきかと思います。初期コスト(=制作費用)の安さをとるか、メンテナンスの手間と耐久性をとるか、です。

木材選び(ふきゅの場合)

今回ふきゅがウッドデッキを作るのに使った木材はというと、結論から言って柱(ポスト)は防腐剤注入材で、それ以外はSPFです。

ウッドデッキの構造を1)床材、2)骨材(ビーム)、3)柱(ポスト)に分けて、それぞれの特徴を考えました。まず、一番腐りやすいのは最も風雨にさらされる1)で、2) 3)はまだいくぶんかマシ。ただし、3)ポストは基礎である束石と接地することが前提ですから、雨の後そこの部分に水がいつまでも残ってる可能性があり、2)ビームより弱い可能性が高いと判断しました。

一方、メンテナンスのしやすさから考えると、1)床材は強引な話「腐れば取り替えればいい」という発想もありですが、2) 3)は取り替えるとなると、大変手間がかかり、素人にとっては作り直すのと同じ手間がかかるようにさえ思えます。

まとめると、次のようになります。

耐久性:1) < 3) < 2)

メンテナンス性:1) >> 2) = 3)

というわけで、真っ先に腐るだろうけど取り替えるのも容易な床材はSPF、腐る可能性も高いけど取り替えるのは困難なポストは防腐剤注入材、取り替えるのは困難だけど腐る可能性が一番低いビームはSPFという結論を下したわけです。

もちろん、この考え方があってるかどうかは知りません。

構造を考える

フェンスとパーゴラ

木材選びと共に真っ先に考えなければならないのは、やはりウッドデッキの大きさと形でしょう。

大きさについては、その家その家に応じて事情が異なりますから、必然的にそれぞれに必要な大きさが決まってしまいます。ですから、ここで考えなければならないのはその形かと思います。

つまり、フェンスはどうするのとか、屋根(パーゴラ)は作るのとか、あるいは、平面図的に真四角にするのか、多角形にするのか、はたまた曲線を取り入れるのか、ということです。

フェンスの有無については、例えば、リビングの吐き出し窓と庭の芝生を結ぶちょっとした空間をウッドデッキにしようなどと考えるときは、開放感たっぷりにフェンスを無くして、どこからでも芝生と行き来できるように、という考え方もあるでしょう。一方、ある程度のプライバシー確保のためとか、お花のポットをハンギングするスペースが欲しいといった理由からフェンスをつけるという考え方もあるでしょう。しかし、ここで考えなくてはならないことは「フェンスを設けると予算が跳ね上がる」ということです。

フェンスをつけるからといって、技術的に難しくなることはあまりありませんが、フェンスを取り付けるためのロングポストはそれなりに高くつきます。ケチケチをモットーにするなら、必要最小限のフェンスをつけるにとどめておくべきでしょう。

パーゴラは、自分が作ってないので言うこともあまりないのですが、フェンス以上に予算にきいてくるばかりでなく、技術的にも難しくなります。1人で作ろうと考えている場合、それなりの体力と技術と知恵が要求される可能性が高いです。「初めてのウッドデッキ」ならパーゴラは後から付けることも視野に入れた方がいいかもしれません。

というわけでふきゅの場合は、フェンスは外から見える部分2面を覆う形で、パーゴラは見送る、といった基本方針を決めました。

平面の形

木材加工はやってみるとわかりますが、直線だけで水平と垂直以外の角度を使わなければ大したことありません。「斜め」というのは想像以上に難しいものだということがわかります。

そういう意味では最初は真四角のウッドデッキにするのが無難といえば無難ですが、部分的に斜めや曲線を取り入れるのは個人的には賛成します。

ふきゅの場合は4坪と、それなりにおおがかりなウッドデッキであったことから、あまり無理をせずにまったくの正方形で作ることにしました。DIYのいいところの一つに、自分で後から手を入れやすいということがあるかと思います。ウチのウッドデッキもちょっと曲線を取り入れたプランター台を後から作りました。

真四角にしてしまうと当たり前ですが「かど」ができますよね。それが庭の隅ならともかく、真ん中に近いところにできてしまうようなら、そこは植栽で隠すべきかと思います。うちの場合は庭の主木であるヤマボウシをかどにあたる部分に植えてます。

道具選び

電動工具はどこまで揃えるか?

一般人がウッドデッキを設計し、作ろうと思ったら丸ノコと電動ドライバ(あるいはインパクトドライバ)は必要不可欠です。これらはホームセンターで売ってますからそれを買ってくるということももちろんアリですが、ホームセンターによっては貸し出しを行っているところもあります。それを借りてくるということもアリかと思います。

電動工具の賢い選び方と調達方法はどのようなものでしょうか。

ふきゅ個人的には丸ノコもインパクトドライバも買いました。ウッドデッキを作ることが最初で最後の木工工作と決めてかかっているのなら、それらをレンタルで調達することが最も賢いやり方かと思いますが、そうでないならば、やはり丸ノコは持っておいた方がいいでしょうね。インパクトドライバについてはちょっと悩むところです。

あと、オービタルサンダーなるやすりがけを電動でしてくれるものもありますが、これはどうでしょうねぇ...。やすりがけをした方が綺麗に仕上がることはわかっているのですが、それを省くのもアリかと思います。手で紙やすりを使ってやすりがけするのは、デッキがある程度以上の広さがあると、かなり苦痛を伴います。かといって、丸ノコのようにレンタルしてくれてるところはほとんどないと思われますから...。一番安いやつで、「手でやすりがけするよりはマシ」くらいのつもりで買いましたけどね。

丸ノコの選び方

一念発起、電動工具は買ってそろえることにしました。さて、どれを買えばいいのでしょう?

ふきゅの経験から言うと、丸ノコは歯の径が165mmのもの(かそれ以上のもの)なら何でもいいと思います。145mmのものもありますが、それだと90mm角のポストが切断できません。2×4材も斜めに切ることが難しくなります。

そこまで決めたとしても、まだ何故か値段に数千円から数万円までの差があります。「どうせ買うならいいやつを」という考え方もあるでしょうけど、湯水のごとく使えるお金があるのではなければ、一番安いやつでいいです。まったく困りません。日曜大工でウッドデッキを作る程度なら、それ以上のグレードは必要がないということです。

電動ドライバの選び方

ウッドデッキを作った人の体験談では「インパクトドライバがあるのとないのとでは全然作業の効率が違うよ」と言います。確かにそりゃそうです。しかし、忘れてはならないのはインパクトドライバは「うるさい」ということです。

丸ノコで木材を切断するときも最初は大きな音にびっくりしたもんですが、(近所迷惑にならないかと気を遣ったもんですが)、インパクトドライバの出す音はそれを上回ります。正直なところ、作業スペースと近所の人との付き合いなどを考慮して導入は決めた方がいいと思います。ふきゅの場合、近所の方には「うるさくてごめんなさい」と挨拶しつつインパクトドライバを買いました。これも一番安いやつで十分その威力が体感できます。

では、電動ドライバで用は足せないか?というと、そうではないと思います。実際、ふきゅも途中までは電動ドライバを使ってました。AC100Vの電源コードをぶら下げて使うやつと、充電式のやつがありますが、電源コードがついてても何とかなります。どうせ丸ノコで電源が必要なんだから、コードリールは作業スペースまで持っていってますからね。でも、気をつけなければならないのは、「無段階変速がついてるか?」ということです。つまり、トリガーを引く距離に応じてドライバの回転速度が変わるやつでないとダメだということです。それだけ守れば後はなんとかなります。

ただ、丸ノコと違って電動ドライバは価格差に相当するパフォーマンスの差が日曜大工レベルでも体感できますね。最終的にはドライバを手で回すのが一番確実だったりします。安いものを買うときはそれなりに覚悟が必要かもしれません。